さくらの気持ち
-昭和34年-
キアリスは10周年を迎えた。
事務所は元・麻田の店舗に移った。
社員も増え、各々の役職も決まる。
社長:紀夫、専務:すみれ、取締役:明美、
製作所所長:良子、デザイナー:君枝、部長:たけちゃん
そんな朝、大急百貨店から一本の電話が入る。
「ご用命を賜りました!」なんと、皇太子ご夫妻のお子様用として。
思ってもいない事に大喜びの一同。
このことにより「キアリス」の名前は日本全国に知れ渡るようになる。
さくらは15歳になっている。
すみれは仕事が忙しく、連日帰宅は遅い。
母とゆっくり話す時間も無いさくらは寂しそう・・・
伯母ゆりの家を訪ねたさくら。
正太の勉強を見たり、手作りの夕食をつくるゆりの姿に
さくらは一層寂しさをつのらせる。
その頃潔は、坂東営業部を「オライオン」という
有名な婦人服メーカーへと成長させている。
高校の受験校選びの時期になり
さくらは「お母さんの学校にいこうかな」と言う。
受験の当日、白紙答案を出そうとした、さくら。
やはり、そうすることは出来なかった。
帰り道、君枝の家に幼なじみのケンちゃんを訪ね
「いつも、いい子でいる自分が嫌」とさくら。
「お母さんは、私がいい子だから安心して仕事が出来る、て言うの・・・」
とケンちゃんに言うさくら。
-合格発表の日-
さくらは、自分の番号を見つける。
嬉しいが、母と一緒に喜ぶ他の受験生の姿を見て、寂しさは隠せない。
結果報告のためキアリスに行くさくら。
「合格」の報告を受け「おめでとう」とさくらを抱きしめるすみれ。
「今夜は合格祝いをしよう!」と紀夫。
「もちろん、そうしましょう!早く帰るわ」とすみれ。
とても嬉しそうなさくら。
帰り支度をする、すみれと紀夫。
そこへ、東京の松島屋の催事用の商品が、何かの手違いで届いていないとの連絡が入った。
慌てて商品をかき集め、自分たちで運ぶ算段をする紀夫とすみれ。
その夜、きよが作ったご馳走を並べて待っているが、紀夫とすみれの帰りは遅い。
そこへ、すみれから電話が入る。
「さくら、ごめんね、お父さんとお母さん、
これから東京へ行かないといけなくなったの。お祝いは改めてするからね。」
「はい、わかった」と答えたさくらだった。
今日の感想
キアリス10周年おめでとうございます。
なんだか皆、立派になってすごいです。
そして皇室からのご用命!
浩宮様、今の皇太子殿下がお召しになったのですね。
迷う事なく、ほんとうに良い物を作り続けて来た証しとなりますね。
仕事に邁進するすみれの気持ちもよくわかるし、
寂しいさくらのきもちも、よくわかる。
「分身の術が使えたら・・・」
働くお母さんは皆、一度は思うことがあるのでは?
それにしても、合格祝いの日に限ってアクシデントが起きるなんて!
さくらも、すみれも、紀夫も、みーんな寂しいですよね。
なんか辛いです。
さくらちゃん健気で・・・子供って、がまんするんですよね。
親の様子を見て、自分がわがまま言って困らせてはいけないと・・・。
さくらちゃん、がまんしすぎなような気がします。